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2008年12月 アーカイブ

2008年12月03日

「白菜浅漬け」にはオリーブオイルが好相性です

12月に入り、朝晩の冷え込みも厳しくなってきましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか?
「冬には、冬が旬の野菜・果物を食べるのが体に良い」と昔から言われていますが、なぜだと思われますか?
簡単に申しますと、温帯に住む日本人は、冬に旬を迎える「地元の野菜・果物」を摂ることで、うまく体を温めることが出来るのです。この「地元の」というのがキーワード、とても重要なのですが、さらに言えば「旬の農産物」には、エネルギー、生命力が最もみなぎっており、我々人間は、それらを有難く頂くことで、季節の変化にうまく順応しながら、健康的に生きていけるのだと思います。
「自然の摂理の中で生きている人間は、自然の摂理に合った物を頂く」、この「シンプルで当たり前のこと」が、慌しい日常生活の中で、ややもすると忘れがちになりますが、実は、この「シンプルで当たり前のこと」が、今の時代、一番大切なのではないでしょうか?

白菜が美味しくなってきましたね。寒さが厳しくなり、朝霜が下りますと、白菜は、甘味・旨味が増すのです。「白菜でお鍋」も美味しいですが、私の一番のお薦めは「浅漬け」です。しかも、上質のオリーブオイルをかけて食べますと、とてもコクがあって美味しいのです。
「浅漬け」は、簡単に出来ますから、出来れば、手作りして頂きたいのですが、まずは、白菜を幅2-3cmにカットし、天然塩をまぶしてよく混ぜ、そのまま半日ほど置くだけです。私は、ゆずの皮や、細切りした昆布等も加えますが、アレンジは、ご自由で結構です。
毎日食べても飽きない「白菜の浅漬けにオリーブオイル」を是非、皆様もお試し下さいませ。

長野県飯山市の「地産地消」メニュー開発 (4)

観光資源再生・活性化のために、定期的にレストランのメニュー開発・技術指導をさせて頂いております長野県飯山市に先月下旬に伺い、「地元野菜たっぷりの贅沢カレー」を開発させて頂きました。
飯山市には、とても美味しい農産物が多いことと、老若男女どなたでも楽しんで頂けるメニューということで考え付いたのが、このカレーなのですが、ご試食して頂いた皆さんには、とても好評で、看板メニューのひとつになりそうな気が致しました。
レシピーを簡単にご説明致しますと、まず、挽肉か大豆と玉葱、人参、ジャガイモをオリーブオイルでゆっくりと炒め、「焼肉のタレ」を少々加えます。「なぜ?」と思われる方も多いかと思いますが、「焼肉のタレ」には、生姜や大蒜、りんごやトマト等、カレーに入れたら美味しくなる材料が沢山含まれているのです。メーカーは、手に入る物であれば、どこでも結構です(笑)
カレールーも市販品で充分ですが、その3割程、ビーフシチューのルーを加えると、美味しさ・コクがアップ致します。さらに、仕上げに「ココアかコーヒー、チョコレート」を少し加えることで、「一晩寝かせたプロの味わい」になります。
肝心な「地元野菜」ですが、これらは、最初から煮込んでしまいますと、ペーストになってしまい、せっかくの食感、色彩が消えてしまいますので、手間でもそれぞれ別々にボイルしておき、食べる直前にルーに絡ませ、温める感覚で盛り付けて頂ければ完璧です。
このレシピは、ご家庭でも活用出来ると思いますので、是非、お試し下さいませ。





長野県飯山市の「地産地消」メニュー開発 (5)

11月下旬のご指導では、「地元に焼き立ての美味しいパンが食べられるお店が無いんです。」とのご要望にお応えし、簡単で美味しいピザ生地やパンの開発もさせて頂きました。
パンと言いますと、「発酵させるのが大変」とか「特殊なオーブンが無いと焼くのが難しい」という印象をお持ちの方も多いかと思いますが、今回は、私の極秘テクニック(?)をご披露させて頂き、とても簡単で美味しいパンを何種類も作ることが出来まして、「これならウチのおばあちゃんでも食べられるよ!」と、皆さんにとても喜んで頂きました。
まずは、生地の配合ですが、小麦粉に、地元の美味しいジャガイモをゆでてマッシュした物と上質のオリーブオイルを加えます。こうすることにより、時間が経っても、しっとりとした食感と焼き立ての美味しさが維持出来て、テイクアウトのお土産用に活用することも可能になります。もちろん、訳の分からない添加物は不使用ですので、安心感やヘルシー感があり、ヒット商品になるような予感が致します。
問題は、発酵のさせ方なのですが、裏ワザとして「ホカロン」を、生地の入ったボールに数枚貼り、温めますと、35℃位の適温を維持することが出来るのです。この方法でしたら、誰がやっても失敗することはありません(笑)ので、是非、お試し下さいませ。
ちなみに、この方法は、南イタリアのピザ屋さんで教えてもらったのですが、イタリアには「ホカロン」は無いですよね。何でイタリア人は知っていたのでしょうか?(笑)
下の写真は、薄く延ばしたシンプルピザですが、プチトマトだけをのせて焼きました。生地の旨味と焼いたトマトの自然な甘味のバランスが絶妙で、見た目も可愛らしく、とても美味しかったです。この1品、お食事メニューに入れても良いですし、小さく作れば、ハーブティー等のお茶受けとしても合うと思います。





長野県飯山市の「地産地消」メニュー開発 (6)

11月下旬のご指導で、簡単に出来て美味しいパンを数種類、開発させて頂きましたが、その中の幾つかをご紹介させて頂きます。
まずは、地元のキノコを贅沢にのせたパンですが、シメジ、椎茸、エリンギのスライスした物を、生のままのせて、オリーブオイルをかけ、250℃のオーブンに入れてみましたが、焼き上がりのキノコの風味が絶妙で、かなりインパクトが有り、とても美味しかったです。
地元の豆類も豊富で、とても美味しいので、これらも生かそうと、「和風テイストのお豆パン」も開発しましたが、豆の美味しさが素朴に伝わり、これらもヒット商品になるような気がします。
パン生地には、甘味があって美味しいジャガイモを加えておりますので、「スイーツ系にも合うかもしれない」と、調理パンの試作中に、私が急に思い付き、急遽、手作りジャムや小豆アンを用意して、それらをトッピングしてみましたが、どれも美味しくて、「これだけのメニューがあれば、明日からでも「手作りパン屋さん」が出来ますね!」と、皆さん、目を輝かせていらっしゃいました。
最後に、地元のそば粉でもパンを作ってみましたが、そば好きな方にとっては堪らない美味しさで、ヘルシー感もあり、赤味噌を入れて焼いた物は、特に香ばしくて美味しかったです。
来年4月、北竜湖畔でのレストラン・カフェのオープンがとても楽しみになってきました。





2008年12月04日

長野県飯山市の「地産地消」メニュー開発 (7)

11月下旬のご指導では、地元産の、種類も豊富で、とても美味しい豆類を是非とも活用したいと考え、ご覧のような「お豆たっぷりソースの絶品パスタ」を考案致しました。
ソースのベースは、和風出汁が決めての赤味噌ソースと、地元の完熟トマトと上質のオリーブオイルをじっくり煮詰めて作った、とてもコクのあるトマトソースの2種類ですが、それだけでも美味しいソースのベースに、自然の旨味と甘味が凝縮した色とりどりのお豆を加えますと、旨味とコクがさらに際立ち、毎日でも食べたくなるほどの絶品に仕上がりました。
受講者の方々は、皆さん笑顔で「お豆といったら、甘く煮るくらいしか思いつかなかったけれど、こんなに美味しく食べられる料理があったのですね。お年寄りでも食べられそうです。感激しました!」と、美味しそうに試食されていました。
そんなに喜んで頂けるなんて本当に光栄ですが、感激したのは私の方です。こんなに美味しいお豆をご提供して頂き、心から感謝しております。




2008年12月09日

徳島県阿波市の「極上フルーツトマト」

最近、地域活性化のお手伝いで、全国に伺うことが多くなりましたが、思いもよらずに「その土地の素晴らしい味、食材」を発見致しますと、本当に嬉しくなってきます。
私は、日頃から日本全国の「農村応援団長」を自負しておりますので、これからも、お呼びがかかれば、全国どこにでも伺い、その土地の素晴らしい食材を活用したメニュー開発、ご指導をしていきたいと思っております。

先日、徳島県に伺った時に、極上の素晴らしいフルーツトマトに出会いました。それは、阿波市の「原田トマト」さんで愛情たっぷりに栽培されている物なのですが、農薬の代わりに、殺菌、防虫作用のあるユーカリなどのハーブの精油を使用されるなど、その研究熱心さ、心配りには、私も脱帽いたしました。「本当に素晴らしい!」です。美味しい農産物を作るコツは、子育てに通じるものがあるような気がしますし、原田さんの農園から、色々な事を学ばせて頂きました。この出会いに、心から感謝しております。
このトマトでしたら、トマト嫌いなお子さんでも美味しく食べられると思いますので、是非、皆様もお試し下さい。また「原田トマト」さんでは、この極上トマトを贅沢に使ったトマトソース、ドレッシングソースも販売しておりまして、どちらも絶品ですので、こちらもお薦め致します。


シシリアの名門オリーブ園を訪ねる旅 (2)

11月13日付のブログで(1)を書かせて頂きましたが、10月下旬にイタリア・シシリアの名門オリーブ農園「ラビダ」を訪ね、今年の新オイルを搾る作業に立ち合わせて頂きました。
(2)では、農園での収穫風景について書かせて頂きます。
オリーブの実は、初めはグリーン色をしており、熟して行くにつれ、赤味を帯びて、やがては黒く完熟致しますが、ポリフェノール等の微量成分が多く含まれ、酸度の低い、上質のオイルを搾るには、まだ実がグリーン色のうちに、実に傷を付けないように収穫し、24時間以内に搾ることが大切です。
「ラビダ・オリーブ園」では、3種類ほどの違う種類の実を厳選してブレンドし、合わせて搾りますが、このブレンドの割合を変えることで、色々な味のバリエーションを生み出すことが出来ます。オリーブの実以外には、一切の混ぜ物はありませんので、とてもシンプルな作業ですが、逆に言えば、オリーブの実の良し悪しがオイルの味にストレートに反映されますので、農園の環境作りには、細心の注意を払う必要があります。このオリーブ園では、以前から、完全無農薬・有機栽培の「オーガニックの認証」を政府から受けており、あらゆる点で「上質のオリーブオイルを搾るための万全の体制が整えられている」、私が思うに、世界ナンバーワンの農園だと思います。




シシリアの名門オリーブ園を訪ねる旅 (3)

シシリアの名門オリーブ農園「ラビダ」では、オリーブ園の中に搾油所が有り、オリーブの実が新鮮なうちに搾ることが出来る、最高の設備が整えられています。
(3)では、搾油所での工程をレポートをさせて頂きます。
まずは、実に残っているオリーブの葉をエアーで吹き飛ばします。その後、ベルトに乗せて洗浄し、実をすり潰しますが、この工程では、すでにオリーブの良い香りが漂い始め、上質のオイルが搾れることを予感させてくれます。ペースト状態になった実は、給油タンクのような形の遠心分離機にかけられ、約1時間後に見事なグリーン色の「新オイル」が出てきます。この風味、香りは、本当に素晴らしく、皆様にそれをお届け出来ないのが、とても残念ですが、来年以降、私が「世界一の搾りたてオイルを味わう旅」を企画して、皆様をご案内したいと思っておりますので、どうぞ、御期待下さいませ。
ラビタ社長のナタリアさんには、バケットをトーストして頂き、地元トラパーニュの天然シーソルトと搾りたてオイルをかけて試食させて頂きましたが、もう言葉にならないほど美味しくて、感動致しました。まさに「スローフードの極み」ですね。
この瞬間に立ち合わせて下さったナタリアさんと、素晴らしい環境の中で見事な実を付けてくれたオリーブの木々には、感謝の気持ちで一杯です。








2008年12月10日

シシリアの名門オリーブ園を訪ねる旅 (4)

今回の滞在では、農園近くにある、築200年のラビダ邸(ヴィッラ)に泊まらせて頂きましたが、お忙しい中、社長のナタリアさんには、搾り立ての新オイルでお料理を何品か作って頂きました。
シシリアと言いますと、新鮮な魚介類が多いことで有名ですが、特に、鰯を使った伝統料理に素晴らしい物が多く、上質のオリーブオイルで揚げた「鰯の開きのフリツト」や、オレンジ風味のパン粉の詰め物をした鰯のグラタン「ベカフィコ(ヤマシギ風)」は、飽きの来ない素朴な味わいで、シシリア産の白ワインとの相性も良く、とても美味しかったです。
新オイルでササッと簡単に作ったパスタも印象的でした。作り方はとてもシンプルなのですが、「これほどまでに新オイルの旨味を引き出せるパスタは他に無いでしょう」と思えるくらい美味しくて「目からウロコ」状態でした。
そのレシピをご説明致しましょう。まずは、パルメザンチーズをフードプロセッサーでパウダー状にします。(市販の粉チーズで代用しますと、微妙に味のインパクトが異なりますので、手間でも、チーズはブロックで買って、刻むことをお薦め致します。)大きめのボールにパウダー状のチーズと刻んだパセリを適宜入れ、あとは、少しずつ新オイルを加えて混ぜ、マヨネーズのように乳化させておきます。そこに、茹で立て、熱々のパスタを加えて、サッと混ぜ合わるだけです。凄く簡単ですよね(笑)でも、本当に美味しいのです。是非、皆様もお試し下さいませ。
朝食でも感動致しました。シシリアと言いますと、レモン、オレンジ等の柑橘類も美味しいことで有名ですが、ジャム類はすべて、お母さん手作りの自家製で、当然のことながら、添加物は一切入っていませんので、素材の味がストレートに伝わり、「本物のジャムって、こんなに美味しかったんだ!」と、再認識致しました。オリーブオイルとの相性も、とても良かったです。
決して、豪華ではないけれども、このような、心の篭った食事を朝から食べることが出来たなら、その日1日がハッピーでいられるような気がします。実際に、シシリア滞在中の私は、毎日が幸せ気分でした。



シシリアの名門オリーブ園を訪ねる旅 (5)

ラビダ農園滞在中の私は、お忙しいナタリア社長に代わって、息子さんのアルフレッド君(10才)と行動を共にすることが多かったのですが、彼は、料理やお菓子作りが大好きで、とても上手に色々な物を作ってくれました。
まず、驚いたのは、近くの魚屋さんに行ったと思ったら、いきなりキッチンで、魚の下拵えを始めたのです。欧米人には、魚の頭を嫌う方も多いのですが、かれは、とても逞しく、見事に三枚卸しに仕上げたのですから、素晴らしいですよね。
魚の身は、オリーブオイルを敷いたフライパンで焼き、レモン風味の手打ちパスタに絡めてくれましたが、もう、感動でした!味は、少しボケていましたが、塩の振り方を教えてあげましたら、すぐに理解し、味を修正しましたから、立派なものです。
「ミスターコグレは、スイーツも好きですか?」と聞かれましたので、「大好きですよ」と何気なく答えましたら、今度は、お菓子用のミキサーと小麦粉を用意し、チョコレートケーキとクッキーを焼いてくれました。
近くでは、おばあちゃんが心配そうに見守っており、段取りの危うい場面では、少し助け舟を出していましたが、大人達の不安も物ともせず、楽しそうに作り上げたのですから、これは「将来の名シェフ」間違い無しですね(笑)
ラビダさんは、おばあちゃんもナタリアさんも、お料理教室を開催するほどの腕前で、アルフレッド君も、小さい頃からキッチンが遊び場だったようですので、見よう見まねで大人の真似をしていて、料理作りの楽しさに目覚めたようですが、家族みんなでキッチンに立てるなんて素晴らしいですし、是非、全国のお子さん達には、料理作りの楽しさを体験して頂きたいですね。料理作りから、生きてゆく上で大切なことが沢山学べるはずですから。




2008年12月19日

サッカー・クラブW杯を初観戦

昨日、横浜国際総合競技場で準決勝が行われた、サッカーの「トヨタ・クラブW杯」を観戦して来ました。
欧州代表の「マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)」とアジア代表の「ガンバ大阪」の対戦でしたが、シュート数が両チーム合わせて、おそらく50本近い「超・攻撃的サッカー」の連続で、赤と紺の衣装で埋まった7万人の観衆のボルテージは上がりっ放しでした。
私も、こんなにサッカーが面白いとは思っていませんでしたが、何よりも感動したことは、ガンバ大阪の「どんな格上の相手に対しても、リスクを恐れずにいけば、点が取れるんだ!」という強気の姿勢、相手が先にゴールを重ねても、決っして自分達を見失わずに、その攻撃スタイルを最後まで、90分間貫き通した強い意思力には、本当に感動致しましたし、多くの人々に勇気を与えてくれたと思います。
「サッカーと料理」、「チームとひとり」、ジャンルもスタイルも異なる世界ですが、「自分(達)の可能性を信じ、高い壁にも恐れずに、正面から向かって行く」そんなスタイルは、私の人生観とも通じ、昨日は、思いがけずに、サッカーの試合から、「初心」を再確認することが出来ました。
国内リーグの疲れもある中で、素晴らしい試合を見せてくれた両チームには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。残る21日の試合も全力で頑張って欲しいですね。

2008年12月23日

初冬の南イタリア・シシリアの市場より (1)

10月下旬に、南イタリア・シシリアの名門オリーブ園に伺い、「素晴らしい新オイルの味見」をして来ましたが、パレルモ滞在中には、市内にある大きな市場3ヶ所(カポ、バラッロ、ブッチリア)を隅々まで歩いて回り、新鮮な旬の食材が豊富に揃う店先から「南イタリアの冬の訪れ」を肌で感じ取ることが出来まして、とても嬉しかったです。
そして、何度も来ているパレルモの市場ではありますが、今回、改めて気付いたことがありました。それは、「買い物客の殆んどが男性である」ということです。
イスラム圏の国々では、女性はあまり外出しないため、市場に買い物に来るのは、殆んどが男性ですが、シシリアはイスラム圏ではなく、少し不思議な感じがしましたが、私自身が自分の買い物をしているうちに、その理由が分かってきました。
日本であれば、殆んどの皆さんは、車でスーパーマーケットに行き、入口に近いパーキングに駐車して、買い物用カートを使い、同じスーパーマーケット内で全ての買い物を済ませ、自分自身で重い荷物を長時間持ち歩くことはあまり無いかと思いますが、パレルモの旧市街にある市場は、古い歴史があり、車社会が普及する前から建っていますので、まず、車が近くまで入って行くことが出来ません。
そのため、買い物客の皆さんは、石畳の狭い道を歩いて来るわけですが、この石畳は、結構疲れますし、カートを転がして来るのが難しいので、買った物は、自分の手で持って帰らなければなりません。
しかも、お店は、八百屋、魚屋、肉屋・・・等、分かれているために、一箇所で買い物を済ますということが出来ないのです。量的にも、日本であれば、少量のパック入りで、必要な分だけ購入出来ますが、イタリア(殆んどの海外)では、「量り売り」なため、キリのいい量まで、お店の人に、たくさん詰め込まれてしまうのです(笑)たとえ、その中にキズ物が入っていても、ちゃんと代金を払うのがイタリア流ですから、こちらでは「良い物に換えてよ!」と文句を言ってはいけません(笑)
この様な状況で買い物をしていますと、アッと言う間に重い荷物が増え、とても女性が石畳を歩いて持ち帰るのは大変ですので、「買い物は、お父さんの役割」というのが、古くからのこちらの習慣のようです。買い物慣れしているお父さん達の「食材を選ぶ眼」は、真剣その物で、素晴らしいことだと思いました。日本の男性も見習ったら良いですね。
週末の「蚤の市」も見て回りましたが、こちらも殆んどが男性で、商品も男性が好きそうな物が多かったです。





2008年12月24日

初冬の南イタリア・シシリアの市場より (2)

シシリアの市場を歩いていますと、至るところで「旬」を感じ取ることが出来ます。
私がシシリアを訪れるのは、オリーブの収穫時期である10月後半から11月前半が多いのですが、この時期が旬で美味しい果実と言いますと、まずは、「柿」をご紹介したくなります。
イタリア語でも「柿」は「カキ」なのですが、イタリアでは、完熟させた物をスプーンですくって食べます。
私は、イタリアの「カキ」が大好きなのですが、「決して甘過ぎず、でも、コクがあって美味しい」のです。
日本でも、完熟した状態で食べたことがありますが、微妙に味が違うんですよね(笑)おそらく、元の品種は同じでも、土が変わると味も変わるのでしょうね。
次にご紹介したいのは「ウチワサボテンの実」です。初めてシシリアを訪れた10数年前に食べて、驚きました。見た目は、キウイフルーツの様ですが、酸味は無く、甘さも程よくて、飽きの来ない味なので、地元のレストランでも、デザートとして、よく出て来ます。
「メロン」も、外見は「ウリ」の様ですが、とても甘くて美味しいです。値段も日本のメロンほど高くはないので、気軽に味わうことが出来るのが嬉しいですね。
12月に入りますと「赤い果肉のオレンジ(ブラッドオレンジ)」も出てきますが、ジュースにして飲むととても美味しいです。以前、ホテルの朝食会場で、ブラッドオレンジジュースを見て、トマトジュースと間違えた人がいましたが、それほど濃厚な味わいなのです。チャンスがありましたら、是非、飲んでみて下さい。日本にも、冷凍品が輸入されています。








2008年12月28日

初冬の南イタリア・シシリアの市場より (3)

今まで、世界70ヶ国以上を、料理指導の仕事や食文化の取材で訪れましたが、旅先では必ず、どんなに遠い不便な所にあろうとも、その土地の市場を自分の足で歩いてみます。その理由は、市場に来る人々の姿や雰囲気、店先に並んでいる食材を自分の目で確かめることで、その国の食文化はもちろんのこと、それらを取り巻く様々な状況が鮮明に見えてくるからです。
最近は、情報化社会で、何でもすぐに調べれば分かる、とても便利な時代になりましたが、「知らない人には、時間をかけて直接お会いし、話さなければ分からないことが多い」と思いますし「知らない場所には、自分から訪れて、苦労しながら自分の足で歩かなければ本質は見えてこない」というのが、私の、世界を回って得た教訓です。
こんな時代だからこそ「一見、無駄だと思えるような事」や「ハートの部分」を大切にしなければいけないような気が致しますが、皆様はどう思われますでしょうか?
世界の市場を回るのは、本当に楽しいです。「食材の持つ力強さ、自然の色彩の美しさ」に惹かれ、いつも夢中で写真を撮ってしまいますが、シシリア・パレルモの市場でもかなりの枚数をカメラに収めました。「パレルモには、何度も来ているにも関わらずに」です(笑)
たくさんある素晴らしい食材の中で、シシリアにいつ来ても、何度来ても「魅力的で美しい」と思う食材を、いくつかご紹介させて頂きます。
まずは、「ニンニク」です。種類はいくつかあるのですが、写真の「皮が赤味を帯びた物」が、甘味・コクがあって、私は好きです。
そして、「トマト」と「唐辛子」ですが、これらも、実にたくさんの種類、大きさがあり、料理や嗜好によって使い分けるのですが、共通していることはただひとつ、「オリーブオイルと相性が抜群に良い」ということです。
搾り立ての香り高いオイルを中火に保ちながら、ニンニクと唐辛子でゆっくりと香りを付け、粗刻みしたトマトを加えて軽く煮込んだトマトソースの美味しさは「シシリアならではの物」だと思います。
その美味しいトマトソースに、「香ばしく焼いたナス」を加えたパスタを「シシリア風」と言いますが、その理由も、市場を歩きますと、よく分かります。実に多くの瑞々しいナスを見かけますが、とりわけ大きな、ソフトボールをさらに大きくした位のナスで作った「シシリア風パスタ」は、毎日食べても飽きないくらいに美味しい定番料理のひとつです。素晴らしい「地産地消」の郷土料理だと思います。




初冬の南イタリア・シシリアの市場より (4)

「海外の(庶民向け)市場と、日本のスーパーマーケットの違いは?」と言いますと、「売り方の違い」が一番大きいと思います。
我が国では、きちんと大きさ、量を揃えた「パック売り」が主流なのに対して、海外の殆んどの国では「量り売り」が一般的です。もっと分かり易く言いますと「パック売り」では、容器にピタリと入る同じサイズの、真っ直ぐな食材ばかりで、曲がったキュウリや人参は(畑で捨てられ)見かけませんが、海外の市場では、サイズも形もバラバラで並んでいますので「量り売り」するしかなく、多少の傷みも気にせずに売られていますが、皆様は、どちらの売り方がベターだと思われますか?
一見すると、「パック売り」の方が便利で機能的だと思われるかもしれませんが、農産物は、自然の中で栽培された物ですから、サイズも形も色々あって当たり前だと思いますし、曲がった野菜も同じ味で、食べられない物ではないわけですから、捨ててしまわずに「無駄なく食べること」が、自給率の低い我が国にとりまして、とても大切な事だと思います。もちろん、世界中の消費量が急増している魚介類などの水産品に対しても同じことが言えます。
私が修行をしたフランス・リヨンの高級レストランでも「曲がっていれば、カットして使う」とか「大きければ半分に切って使い、小さければ2つ付ければいい」という考え方が「常識」で、同じテーブルのお客様同士のお皿でさえ、「盛り付け数が違う」ということがよくありました。料理長も、「量的に同じにしなさい!」と大声で指示していたのを思い出します。
これが、我が国ではどうでしょうか?例えば、「幕の内弁当」のおかずの数、大きさが違っていたら、大問題になるでしょうね(笑)美意識の問題なんですかね?
でも、この基本的な事だけは忘れてはならないと思います。「人間は、自然の摂理の中で、自然の食べ物(命)を頂くことで「生かせて頂いている」のですから、命ある食べ物を粗末にしたり、工業製品と同じ様に規格だけで扱ってはいけない」ということを。
パレルモの市場でも、サイズ、形はバラバラながら「新鮮で生命力に満ち溢れた、農・水産物」が、手際の良いお店のおじさん達により、小気味良いテンポで「量り売り」されており、その名調子に釣られて私もつい買い過ぎてしまいました(笑)




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