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2008年06月 アーカイブ

2008年06月08日

スペイン・アンダルシア地方のひまわり畑

初夏のスペイン・アンダルシア地方に伺いますと、広大な大地は、オリーブの木々のグリーンと、満開のひまわり畑の黄色い絨毯とのコントラストが素晴らしく、人々の心を癒し、和ませてくれます。
道路沿いでは、一企業や一個人の利益よりも、先祖から受け継がれて来た自然の景観を、共有の財産として大切に守ろうとする地元の方々の地道な努力のお陰で、余計な看板広告が一切排除されています。これは、とても素晴らしいことだと思います。自分の生まれ育った故郷に誇りを持ち、大切に受け継いでゆく、そんな郷土愛を我々日本人も、もっと持つべきではないかと思いました。
ところで、この「ひまわり」ですが、何の為に植えられているのかと申しますと、主な目的は、食用の「ヒマワリ油」を搾るためなのです。もちろん、種は、乾煎りして、それ自体を食べることも出来ます。
郷土を大切にして、地産地消を実践しているスペイン、今回の取材で感じたことを数回に分けてレポートさせて頂きます。


2008年06月14日

スペイン・アンダルシア地方のオリーブオイル

世界的に見て、オリーブオイルの生産国は、地中海沿岸諸国に集中しています。
その中でも、全生産量の40%を占めるのは、スペイン南部・アンダルシア地方産のオリーブオイルで、品質の良さでも知られています。最近、我が国でも、スペイン産のオリーブオイルを見かけることが多くなりましたが、10年程前までは、商売上手なイタリア人が、原材料(オリーブの実)をスペインから大量に買取り、イタリア国内で搾って、「イタリア産オリーブオイル」として売ることが多かったのです。
そんなところにも、「おおらかで商売っ気の無い」アンダルシア人気質が出ていると思っていましたが、最近では「美味しいところだけイタリア人に持っていかれることは無い!」ということに気が付き、スペイン国内の自社ブランド・製油場が急速に増えて、日本にも輸出されるようになってきたのです。
アンダルシア地方を周っていますと、今秋も多くの実を付けそうな大木に混じって、将来を見据えた小木も年代ごとに植えられています。オリーブが実を付け始めるには、10年以上かかると言われていますが、生産効率のみを追求して焦ることなく、大自然の中でじっくり時間をかけて、良質のオリーブを収穫しようとする姿勢、これこそが、2000年以上も前から先祖代々受け継がれて来た「スローフード」の基本ではないでしょうか。
最初の写真は「ミハスの高台から望む雄大な地中海とオリーブの木々」2番目は「将来を見据え、年代ごとにきちっと植えられているオリーブの木々(車窓より)」最後は「スペイン・アンダルシアブランドの上質なオイルの数々」です。



スペイン産の上質な「イベリコ生ハム」 (1)

10年以上前に国際オリーブオイル協会からのお招きで、初めてアンダルシア地方のオリーブ農園を周らせて頂いた時のこと。ある農園で、オリーブオイルのテイスティングの際に、いつものスライスしたバケット、リンゴの他に、表面がしっとりとした、見事な霜降りの生ハムが並んでいたのです。
それを一口食べてびっくりしました。スペイン産の生ハムと言いますと、イタリア産のそれに比べて、乾燥・熟成期間が長いために、「硬い」イメージがあったのですが、この生ハムは全く違いました。口の中で「フワッ」と溶け、「独特の香り」が広がるのです。
こんなに美味しい生ハムは、初めてでしたので、農園のご主人に尋ねましたら「ハモン・イベリコ」という答えでした。「ハモン」は生ハムの意味ですから、「イベリコ豚を使った生ハム」ということなのですが、今だにその時の味が忘れられずに、今回も美味しい「ハモン・イベリコ」を求めて各地の「バール(居酒屋さん)」をハシゴしました。お店によって、微妙に味は違うのですが、コルドバの「メスキータ」近くのバールで食べた「ハモン・イベリコ」が今回の旅では、値段も良心的で一番美味しかったように思います。
じつは、この生ハム、脂肪の組成が、オリーブオイルの成分にとても近いのですが、そのお話は(2)でさせて頂きます。

スペイン産の上質な「イベリコ生ハム」 (2)

「ハモン・イベリコ」とは、どんぐりを食べさせたイベリコ豚(黒豚)を使い、熟練した製法と2年以上の長期熟成により作り上げられた、薫り高い最高級の生ハムのことですが、スペイン国内では、年間3000万本以上の生ハムが生産される中で、「ハモン・イベリコ」の最高級品は66.8万本、つまり、手間ひまが非常にかかるために、全生ハム生産量のわずか2.2%しか作ることが出来ないのです。
生産の工程は「塩漬け」「洗浄」「乾燥」「乾燥地下室での熟成」の4つに分けられますが、「乾燥」と「熟成」を標高800m以上の高地で、完全に自然に任せて行われており、熟練された職人でなければ管理が出来ないものですから、「ハモン・イベリコ」は、オリーブオイルと並んで、まさに「スローフード」の典型だと思います。「何でも、良い物を作るには、手間と時間がかかる」これは、揺ぎ無き「自然の摂理」だということが、スペインを訪れる度によく理解出来ます。
ところで「ハモン・イベリコ」の脂肪分は、59%という高い割合でオレイン酸を含有しており、脂肪の組成上では、オリーブオイルにとてもよく似ています。このことからも、「ハモン・イベリコ」が、食べた瞬間に口の中で溶ける理由がよく分かります。「自然に逆らわないスローフードは、体にも優しい」のですね。
まだ日差しの強い午後、セビリアのバールで地元名産の「シェリー酒」の香りを楽しみながら、スライスしたバケットに地元産のオリーブオイルをかけ、「ハモン・イベリコ」を載せて食べてみました。まさしく、「地産地消」の極み、最高の取り合わせに時間がゆっくりと流れて行きました。



スペイン・バレンシア地方の美味しい「パエリア」

スペイン料理と言いますと、まずイメージするのが、「パエリア」ではないでしようか?元々は、イスラム教徒が8世紀にイベリア半島に進出した際にアフリカから持ち込んだ米(稲作)に、バレンシア地方の特産品であるサフランやトマト、その他、地の野菜、魚、肉等、手に入る色々な食材を鍋に入れて煮込んだのが始まりで、典型的な「男性の料理・炊き込み御飯」なのです。
Paellaとは「彼女のために」という意味ですが、かつては、女性の慰労を兼ねて、男性が身近に有る材料を大胆にオリーブオイルとニンニクで炒め、「オレ流」のパエリアを作っていたのだと思います。つまり、10人の男性がいたら10通りのパエリアがあったのでしょうね。
スペインは、よく「多言語国家」だと言われますが、料理に関しても同様で、「多料理国家」と言ってもよいと思います。広大なイベリア半島では、地理的な条件の違いが大きな地域差を生んできており、「スペインには、スペイン料理は無く、地方料理だけが有る」と言われる所以もそんなところにあるのでしょう。ですから、「パエリア」もスペイン全土で作られているというわけではありませんが、観光客からのリクエストが多いために、大抵の観光地のレストランでは「パエリア」がメニューに載っています。各観光地の「パエリア」を食べ比べるのも面白いかもしれませんね。
写真の「ミックス・パエリア」は、バレンシア郊外の小さなレストランに1人で入った時にオーダーした物ですが、どうみても3人前以上はある「特大サイズ」で出て来て、びっくり致しました。周りのお客さん達も「これ、1人で食べるのかな?」という感じで見ていましたが、結局、美味しかったので「完食」してしまいました。本当に美味しい料理なら、満腹でも食べられるのですね(笑)

2008年06月28日

短大・フードスペシャリストコースでの「料理講習会」

先日、厚木市の湘北短期大学からご依頼を頂き、生活プロデュース学科・フードスペシャリストコースの学生さん向けに「料理講習会」を開催致しました。
参加されたみなさんは、普段から基本的な和食の家庭料理を中心に、洋食、中華、お菓子、パンなども幅広く学んでいらっしゃるということで、今回は、特別に「プロの高度な技術」をご披露させて頂くことに致しました。
メニューは私の自信作でもあります「季節野菜のテリーヌ」と、伝統的なフランス料理の代表「チキンのビネガー煮込み」の2品でしたが、みなさんの真剣な眼差し、料理に対する熱意に心打たれ、アッと言う間の3時間余りでした。
試食の際に、みなさんの来春・卒業後の進路をお聞きしたのですが、一般企業の他に、食品関係の会社に就職する方も多いようで、是非、私の目標でもある「食を通した世界平和」のために、お互いに頑張りましょう。これからの時代、色々な意味で「食」が「キーワード」になってくるのは間違い無いと思いますし、「食」は全ての基本なのですから、遣り甲斐のある仕事に「誇り」を持っていきましょう。



2008年06月29日

スペイン「ドン・キホーテ」とラ・マンチャ地方の風車

アラビア語で「乾いた土地」を意味するラ・マンチャ地方。その中にある、のどかで小さな村「カンポ・デ・クリプターナ」には、雨の少ない土地でも育つオリーブ畑や、暑さ焼けを防止するために地面から1m足らずの低さに保たれているブドウ畑が、赤茶けた土地一面に広がっています。
真夏の猛暑はかなりのもので、「車のボンネットに卵を落とせば、一瞬にして目玉焼きが出来る」という表現も有り、それをもじったお土産品も、近くのドライブインには沢山並んでいます。
この辺りは、大変に風が強く「風車の村」としても有名ですが、小説「ドン・キホーテ」にも登場した白い風車は、のどかな村のあちらこちらに点在し、近くから見上げますと、確かに迫力があり、酷暑の中でドン・キホーテが「巨人」と見間違え、サンチョ・パンサと共に勇猛果敢に戦いを挑んだのも無理は無いかな(笑)と思いました。


2008年06月30日

スペイン「ドン・キホーテ」の旅籠

「ドン・キホーテ」の舞台となったラ・マンチャ地方には、風車を巨人と間違え、戦いを挑んだ村「カンポ・デ・クリプターナ」をはじめ、今も彼らが立ち寄ったとされる村々が点在しています。
その中でも、特に有名なのが、風車から車で30分ほど走った所にある「プエルト・ラピセ」という村で、そこには「ドン・キホーテ」の作者・セルバンテスが、実際に何度も泊まったという旅籠「ラ・ベンタ・デ・ドン・キホーテ」が残っており、観光名所の1つとなっています。
現在も、その旅籠は、レストランと土産店を併設した博物館として一般に開放されており、私もそこでランチを頂きましたが、とても雰囲気があり、「ドン・キホーテ」がここで帯甲式(騎士の称号を受ける儀式)を行ったとされるストーリーも納得出来ましたし、今にも、やせ馬ロシナンテにまたがった「ドン・キホーテ」が金だらいの鎧兜(よろいかぶと)を身に付けて旅籠の中から飛び出して来そうな感じがして、とても嬉しくなりました(笑)


スペイン「ドン・キホーテ」の婚礼メニュー

「プエルト・ラピセ」の旅籠レストラン「ラ・ベンタ・デ・ドン・キホーテ」では、セルバンテスが泊まっていた当時の、400年以上前のレシピをベースにして作られた「ラ・マンチャ地方の郷土料理」を楽しむことが出来ます。
今回は「ボーダ・デ・カマチョ」というメニューを頂きましたが、「ドン・キホーテ」の中に登場する「カマチョの婚礼」にちなんだ料理でして、前菜は「地元野菜のトマト煮」、メインは「チキンとつくねのポトフ」、デザートは「花びらをイメージしたパイとアイスクリーム」でした。
場所柄、食材も限られており、とても素朴な料理ばかりでしたが、想像以上に美味しくて、改めて「地産地消」の素晴らしさを実感致しました。
婚礼であれば、当然、ラ・マンチャ地方の美味しいワインで乾杯し、かなり盛り上がったのだろうなと思いますし、私も「カマチョの婚礼」に参加して、当時のみなさんの生活ぶりを見てみたいな、と思いました。



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